マリーの脳蜜。

ナカムラルビイの脳みそから抽出されたもの

正月時間さめやらぬ

大衆というのは、たいした考えもなく人々を死に追いやるかと思えば、できることなら生き返らせたいなんて平気で思うような人たちのことを指すんだよ

ソクラテスプラトン著「クリトン」より)

 

以下、創作小話と日記です。

 

 ________

 

ここは、街全体に、イオンの中のフードコートのような雰囲気が漂っていて、そこに流れ着くものは、どこそこの息子がどうだとか、あそこの嫁さんがああだとか、そういった話だった。

概ね彼らは、ピカピカに洗車されたトヨタに乗っていて、それは当たり前に誇ることであるという考えを持ち、マナーなどはあまり思考の内側にはなく、くわえタバコで片手ハンドル、少々荒っぽい運転が素晴らしいと思っている。

別段嫌いではなかったけれど、私はそれらが尺度となることをあまり好まなくて、根城を移した。

 

正月や盆には親族と飯を囲むし、買い物もする。

さして美味しくも不味くもない飲食店では、気だるげな店員が、やたら気合の入った化粧とネイル、それとバシバシに振られた香水でもてなしてくれるし、彼女のフィールドはきっとそれであるだろうし、また、誰もそれに疑問は持たず、「なんだか感じ悪いね」と一言、また茹ですぎたパスタをすすったりする。

お互いの共通認識として、自身の友人について語ったり、俳優を自身の友人のように語ったり、知りもしない誰かのことを批難したり、コンテンツをファストに消費していく。

私は、それが良いとも悪いとも思わないし、見下すこともないし、そして尊敬するでもなく、ただ少しばかり疲れたなあという気持ちを、現在の住処であるあたらしい街に持ち帰るのであった。

 

ここでは別に、テレビのチャンネル数でマウントを掛けられることもなければ、異常に綺麗なプリウスがステータスでもない。

誰も私がポケットの中に、握りたてのおにぎりを入れていることを知らない。それに、興味もない。

誰もがみな、平等に寒さに震えていて、歩みを増すもの、ゆったり歩くもの、恋人の肩を抱くもの、それぞれが居て、公園のイルミネーションに、向こうのラブホテルの看板の明かりが紛れていようと、全く気にも留めない。

耳が削ぎ落とされそうな寒さの中、まだ、温かいおにぎりに指先が触れた。

これくらいの温度がちょうどいいな、と私は、取り出したおにぎりの白と、吐く息の白さが混ざり合う場所を見つめながら、ルンペンの横を通り過ぎた。

 

________

 

soundcloud.com

 

 

f:id:shojoshoujo:20180104045910p:plain

 

諸々スケジュールです。

目に悪い色なので閲覧に適しておりません。